産経だったか毎日だったかの新聞書評に、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』が新訳され、しかもかなりの売れゆきとの記事を見つけました。なんという福音♪新聞によると東大の先生が新入生にもっとも勧めたい本らしい。
それはさておき、『カラマーゾフ』は私が今までもっとも魂を揺さぶられた小説であり、史上最強に萌えた男が出てくる小説でもあるのだ。
苦悩するインテリ、神に反抗する男イワン・カラマーゾフ。
「俺が認めないのは神じゃないんだよ。俺は神の創った世界なるものを認めないのだし 認めることに同意できないんだ」
「俺は調和なんぞ欲しくない。人類の愛情からいってもまっぴらだね。それより報復できぬ苦しみをいだきつづけている方がいい」
イワンは、罪のない子どもが世界中で殺されること、ひどい虐待を受けて流す涙、これらがキリスト教でいう最後の調和に必要なものであるなら、そんなユートピアはまっぴらだと言い放つのだ。おぉ、この重み!この深さ!!顔が思わず緩むぜぇ。だけどイワンの魅力はこれだけじゃない。
こんなにも激しく神に抗いながらも、イワンは誰よりも神を欲している。それこそ気も狂わんほどに。この強烈な二律背反こそが、イワンを誰よりも魅力的なキャラに仕立て上げているのだ。そして彼こそは、ドストエフスキーの一番強い自己投影が入ったキャラだと思う。
新聞を読みながら、思わず16歳の少女の頃のようにフガーフガーと興奮した私。21世紀のイワン殿は、一体どんな魅力の男に生まれ変わっているのだろうか。
