とにかくたのしみ

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本当は、とても疲れていたのだ。
前日までの大阪勤務、締め切りに追われ続けたイラストの仕事
そして、気持の切り替えもできぬままに新しい職場。
新しいたくさんの仕事、昨日まで見たこともない人たち。
私の心は後ろを向いたままで、頭も思うように働かない。
イヤダ、イヤダ、モウイヤダと私の中のコドモが叫ぶ。

そんな時、たまたま開いた絵本案内。
和洋を問わずいろんな絵本が、見開き頁に1冊ずつ紹介されている。

ふとっちょおばさんが、台所の戸棚のすみで見つけた小さな種。
なんだかよくわからないけど、とにかく庭に蒔いて
おばさんは立札に、こう書いた。

「あさがおかもしれない
すいかかもしれない
とにかくたのしみ」

絵本を読んだわけじゃない。
その中の1頁だけなのに、涙があふれてきた。
未来にワクワクするということを忘れていた私。
それは期待通りのものではないかもしれない。
でも、それならそれを楽しめばいいじゃないか。

「たった1行が人生を変えることがある」と書いたのは
漱石だったか太宰だったか。
たくさんの励ましや慰めよりも、たった一文が
心を立たせてくれることもある。
イツカ ワタシモ ソンナホンガ カケルトイイナ

職場も近くなり、時間も短くなったのだもの。
イラストのお仕事も、今まで以上にがんばろう。

tonikakutanosimi

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