『警視の秘密』という本を読みました。
主人公の警視キンケイドと部下の巡査部長ジェマはお互い憎からず思っているのですが、なかなか素直になれず二人の仲は進展しません。本作がシリーズ3冊目なので、この調子でファンをヤキモキさせてきたかと推察されます。で、殺人事件の解決後、雨に濡れた服を乾かすためにキンケイドの家に寄り、そこで二人はとうとう結ばれます。ああ、良かったハッピーエンド・・・とならないところがおもしろかった。
次の日の朝ジェマはそっとベッドを抜け出し、まだぐっしょりと濡れた服を着ながら深い後悔に襲われます。上司と寝てしまった・・これで今まで一所懸命にがんばって築いてきた地位も、上司とのセックスの報酬として見られても仕方が無い。転勤では理由がバレてしまうし、かといってシングルマザーの身の上では退職も考えられない。離婚のときにも泣かなかったという彼女は、車の中で一人涙を流します。
そのころキンケイドは心地よいまどろみの中で、これからの幸せな日々のことを夢みています。そして、トイレにでもいっているのであろう彼女がもどってきたら、思いっきり抱きしめようと思いながら、また眠りに落ちていくのです。
うーん、この男と女の意識の決定的なズレ。殺人事件はともかく、このラストは秀逸でした。まったく期待していなかったところで、このような作品に出会うとうれしくなります。
