笑えない落語

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先日、寄席に行きました。
上手・下手はあるにしろ、たいていハハハと
笑ってスッキリするのですが、今回は違いました。

最後のお二人のネタがいけませんでした。
笑うどころか心が冷えてしまいました。
どうしてなのか自分なりに分析してみたので
書いてみます。よかったらお読みください。

たいてい落語には、ちょっとマヌケな男が
出てきます。男のトンチンカンな言動や失敗が
おかしさの中心になると思います。
でも、話の最初にたいていしっかり者の女房や
裏のご隠居、頭のいい相棒なんかが出てくる。
彼らは、「馬鹿だね、お前は」なんて言いながらも、
うかつな男の存在を受け入れ、愛情をそそいでいます。

その暖かい居場所が前提にあるから、そこから
飛び出して失敗をおかす男を、私は安心して
笑えるのだと思う。

ひるがえって2本のネタ。
1本は創作で誕生日を1人で過ごす若い男を
初めて知り合った男たちが、寄ってたかって
モテナイ君と揶揄する話でした。
ここに愛は存在ない。単なる愚弄です。

もう1本は古典で、喧嘩好きな息子を
毎朝おこして仕事に行かせる母親の話。
男は機嫌が悪いと年老いた母を殴ります。
この話では、母は息子に愛情をそそいでいますが
同時に息子におびえを感じています。
どんなに他の登場人物が面白おかしくふるまおうと
親に手を出す息子の話では、これっぽっちも笑えない。

笑いの中に、多かれ少なかれ差別的要素があるのは
否めません。が、そこに暖かい眼差しがあるかないかで
大きな違いが出てくるものだなぁと思いました。

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