素晴らしき哉、寄生虫館

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私が東京でどうしても行きたかった場所、それが目黒の寄生虫館。
かれこれ15年くらい前のこと、神戸の中央図書館の書庫の片隅で、私は衝撃的な本を見つけたのでした。それが『寄生虫紳士録』。寄生虫館の初代館長、亀谷了博士によって書かれた本です。寄生虫なのに、紳士。ものすごいセンスのタイトルに惹かれて中身をパラパラめくってみると、これまたインパクト大。嫌われ者であるはずの寄生虫に対する愛にで溢れかえっているではないの。
別の生き物に食べられることによって生が始まる寄生虫の存在を知った時、まるで別の宇宙を発見したような喜びと興奮がありました。そして嗚呼・・・世の中は広い、こんな変人(亀谷先生)もいるのかぁという感慨。夢中になって読みました。

あれから幾星霜(?)・・・ついに、あこがれの寄生虫館へと足を踏み入れたのであります。条虫も住血虫も糸条虫も、みんないた(T_T)エキノコックスの説明もあった。
カップルが「いやーん、ご飯食べれないー」などと、かわゆい会話をするのを小耳にはさみながら、ムササビの大腸に充満するぎょう中を鼻息荒く凝視するわたくし。
生の神秘とたくましさ・・・ああ、素晴らしき哉寄生虫!

寄生虫の研究者たちは、寄生虫を愛する一方で寄生虫患者をなくすという使命に燃えた人々でもあります。また、被害に遭われた多くの方々の犠牲の上に、私たちの今があることも忘れてはいけません。「つつがなく~」という挨拶は、つつが虫の被害にも遭わないで息災です、という意味からきているくらい、昔の日本では寄生虫被害は多かったのですから。それらの人々のこともしっかりと胸にとどめつつ、館をあとにしたのでした。

寄生虫

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