今日、とても辛い大根おろしを食べた。
「口に入れた瞬間はピリピリするのに、
体に入れば、やさしく胃を守り、身を清浄にしてくれる」
ふと、だいこんは、茨木のり子さんの詩みたいだと思った。
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ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
「自分の感受性くらい」茨木のり子
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へこたれそうになった時には、
茨木さんに「ばかもの」と叱ってもらい
私は背筋をのばして、また歩き出す。